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フィリピン在住者が『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』を読んで思ったこと

こんにちは。ご訪問ありがとうございます。

フィリピン生活を満喫中のカリパイ( @legendarykalipy)です。

 

最近、なかなか本を読むことができていなかったのですが、先日、気になっていた本をようやく読むことができました。

それが今回ご紹介する『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』です。

「タイ?バンコク?」

フィリピンとは関係が無いように思われますが、いやいや読んでみて、フィリピン在住者として深く考えさせられました。

というわけで、この本を読んで思ったことを簡単にまとめてみました。

『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』について

この本は、以前このブログでもご紹介した『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』を書いた「日刊マニラ新聞社」の記者である水谷竹秀氏の最新作です。

参考 フィリピン在住者が『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』を読んで思ったこと伝説のKalipay

この本を手にした経緯

前回読んだ『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』がとても印象に残る本で、それ以来、作者の水谷氏の作品に興味をもつようになりました。

今回の題材は「バンコクのコールセンターで働く日本人」ということですが、無条件に感じた好奇心により、購入を決めました。

購入したのはアマゾンのKindleストアーです。

この本の大まかな内容

「お電話ありがとうございます。○○社の△△です。ご注文ですか?」
陽光溢れる、東南アジアのタイ、バンコク。高層ビルの一角にあるコールセンターでひたすら電話を受ける日本人がいる。非正規労働者、借金苦から夜逃げした者、風俗にハマって妊娠した女、LGBTの男女……。息苦しい日本を離れて、彼らが求めたのは自分の「居場所」。フィリピン在住の開高賞作家が日本の現実をあぶりだす問題作。

第1章 「非正規」の居場所
学校時代、いじめに悩み、卒業後に非正規労働を繰り返した吉川は、バンコクでDJの道を目指すが……。
第2章 一家夜逃げ
10歳上のタイ人の妻を持つ世渡り下手な本田は仕事に追い詰められ、借金を残したまま一家でタイに渡る。
第3章 明暗
コールセンターを踏み台にステップアップした丸山。困窮邦人へと転落する関根。明暗を分けるものとは。
第4章 男にハマる女たち
バンコクのゴーゴーボーイ(ブリーフ姿の若いタイ人男性らがステージで踊る連れ出しバー)にハマってしまう女たちがいる。シングルマザーとなった青山、藤原姉妹はそれぞれゴーゴーボーイと結婚して海外移住する。
第5章 日陰の存在
日本ではまだまだ許容されているとは言えないLGBTの人々。一見許容度の高いタイのでコールセンターで働きつつ、居場所を模索する。家族との軋轢で悩む高木。風俗嬢の仕事まで経験したレスビアンの堀田。性転換を果たした水野。果たして彼らに居場所はあるのか。

アマゾン「内容紹介」より引用

タイ・バンコクのコールセンターで働く日本人に取材を重ね、なぜ彼らがタイで暮らし働いているのかがていねいにまとめられています。

彼らにとってタイが「居場所」となっている理由・背景を知ることにより、現在の日本社会が抱える問題について考えるきっかけとなるはずです。

この本を読んで思ったこと

知らない国のことを知るおもしろさ

個人的に、タイについてはまったくと言っていいほど知識がありません。

もちろん、国に関する常識的な知識はありますよ。

ですが、一度も行ったことがない国なので、実際の様子に関しては「ゴメンナサイ」状態です。

 

この本を読んでみて思ったのが「一度タイに行ってみたい!」ということです。

Twitterでフォローしている人の中にタイ在住の方がいますが、その人のツイートにはいつも「ご飯が美味しい」「いい場所だ」という言葉があふれています。

本書でもローカル飯が美味しいことや、華やかな街の様子が書かれていて、とっても魅力を感じます。

 

タイはフィリピンと同じ東南アジアの一国ですが、フィリピンとの共通点・相違点を実際の目で見て肌で感じてみたいですね。

そういった意味で、本書はタイについてのいろんな意味でのリアルな世界が描かれていて、とても参考になりました。

やはり、知らない国のことを知るのは楽しいですね。

「居場所を求める」ことについて

フィリピンについても同じことが言えますが、「外から見て言えること」と「実際に住んでみて気づくこと」には大きな違いがあります。

旅行や短い滞在だけでは表面的な「いい部分」しか見えない場合が多々あるからです。

 

「日本より物価が安くてご飯も美味しい」と聞くと、高い確率で「いい国じゃん」と言いたくなるでしょう。

ただし、問題もあります。

「言葉の壁」「文化・価値観の違い」「宗教」

これらは、時として大きなストレスとなります。

「やはり日本人は日本で暮らすのが一番なのでは?」

普通に考えれば、そうなるかも知れません。

 

しかし、本書に出てくる日本人達は、タイで暮らすことを選択しています。

一方では、選択せざるを得なかったとも言えるかも知れません。

日本の社会の中では受け入れられにくい人、目に見えない何か得体の知れない「枠」からはじき出されてしまった人。

そんな彼らが行き着いた先が「タイ」だったのです。

 

タイという国は、日本よりもある意味「寛容な国」だそうです。

性差・年齢差に関して社会が大きな器で受け止めていると本書では書かれています。

日本で息苦しさを感じながら生活していた人が、タイでは伸び伸びと生きることができる。

彼らは、日本では見つけられなかった「自分の居場所」をここタイで見つけることができた

ここに、日本社会の抱える問題が表れているのではないでしょうか。

日本には自分の居場所がない・・・

自ら命を絶つ寸前まで苦しい思いをしながら日本で生活するのなら、「逃げ出した」と言われようがそんなことは気にせず、居心地がいい国へ行けばいいと思います。

それがタイなのかフィリピンなのか、それとも違う国なのかは人それぞれでしょう。

 

人はみなだれでも、苦しまず自由に生きる権利をもっています。

死んでしまっては、何にもなりません。

当然、移住した先でも大小問題はあるでしょうが、そこが「自分の居場所」と心から思うことができるのなら、その人は幸せに暮らせると思います。

フィリピンと比べてみて感じたこと

日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』を読んだ際に一番おどろいたのが「フィリピンは困窮邦人の数が世界で一番多い国」ということです。

フィリピンにも様々な理由で、日本から移り住んでいる人がいます。

やはりこの場合も各人の理由は違うにせよ、「そこに自分の居場所がある」と信じてやって来ているはずです。

しかし、金銭・縁故・病気等、様々な理由から、そこにあったはずの自分の居場所を失う人がいます。

その結果、日本へ帰国または困窮邦人となってしまうのです。

 

本書にもタイで困窮している日本人が登場します。

困窮邦人の話はフィリピンに限ったことではありません。

しかし自分は、フィリピンとタイでは、困窮に至るまでの過程に大きな違いがあると考えます。

 

タイの場合、移住する前にすでに何らかの息苦しさ・辛さを日本で感じ、その解決のために移り住む。

一方フィリピンの場合、大きな夢や希望をもち、「更なる幸せをつかむため」「成功する自分のイメージをもって」移り住む人が多いと考えます。

そして、その際の宝刀が「お金」ではないでしょうか。

お金さえあれば手にできるだろう幸せは、言い換えれば「お金がなくなったらそこでおしまい」となってしまいます。

自分はフィリピンでしか暮らしたことがないので比べることができませんが、話を聞く限りではフィリピンの方がタイより生活するのにお金がかかる気がします。

 

もちろん、手に職をもち自力で稼ぐ力がある人は、いずれの国においても問題ないでしょう。

そういう人の心配は不要です。きっと日本にも居場所があるはずですから。

 

タイには「日本人街」があるそうですが、ここセブにはありませんね。

なぜなんでしょう。セブに住む日本人って、みな仲悪いんですかね?

もちろん仲良くやっている人がほとんどだと思いますが、とりわけビジネスに関してはそれが大きなコミュニティとなっていないのが現実です。

そういう意味でも、巨大な日本資本が入っているタイと比べて、セブはまだまだ不安が多い場所と言えるかも知れません。

まとめ

読み終えた後、少しどんよりとした気分になるかも知れません。

しかし、本書は東南アジアで暮らす日本人の現実を知ることができる良本です。

そして個人的には、一度タイへ行ってみたくなりました。

直接自分の目で見て、肌で感じることはいい経験になりますからね。

 

お時間のある方は、是非一度、目を通してみてはいかがでしょうか。

フィリピン在住のカリパイがおすすめします。

ではまた。

 

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