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「フィリピン人の家事代行目的での日本入国がスタート」について思うこと

フィリピン人の家事代行目的での日本入国がスタート

先日、ニュースで気になる記事を見つけました。国家戦略特区として、家事代行目的での外国人の入国が大阪市などで認められたことを受け、フィリピン人が家事代行大手ダスキン(大阪府吹田市)に初出社したというものです。

2015年12月に国家戦略特区法が改正され、2016年春から大阪と神奈川で外国人家事労働の受け入れが可能となりました。国家戦略特区法上では、今回の外国人家政婦の受け入れに関して、国家戦略特別区域家事支援外国人受入事業という名称を付けています。これは「女性の活躍推進のために、国家戦略特別区域内において家事支援活動を行う外国人を、日本の公私の機関が雇用契約に基付いて受け入れる事業」というものです。

安倍政権は「女性の活躍支援」を日本の成長戦略の一つとして掲げています。人口減少に伴う労働人口の不足を解消するために、女性の社会進出を促す施策を打ち出し、そのために主に女性の負担となっている家事業務を、外国人労働者に代行してもらうという考えです。

 

受け入れ可能な外国人とは

では、どのような外国人が入国可能となるのでしょうか。以下の要件を満たす必要があります。

  • 年齢が満23歳以上
  • 家事代行に関する実務経験が1年以上
  • 家事代行に必要な知識と技能を有する
  • 家事代行に必要な日本語能力を有する(JLPT:N4レベル)※JLPT:日本語能力試験
参考資料

フィリピン共和国海外雇用庁(POEA)の公表文書

運営委員会決定(家事支援外国人受入事業フィリピンガイドライン)(英文)

つまり、家政婦としての経験が必要ということと、日本語をある程度話せないといけないということです。また、単独で働こうとした場合は、入国許可が下りません。

国家戦略特区法上では、特定の機関に属した外国人のみが対象となっているからです。

 

何だかんだ、フィリピン人にとっては結構ハードルが高い気がします・・・。

 

あなたは賛成派・反対派?

外国人家政婦の受け入れに関しては、賛否が分かれるかと思います。以下に、メリット・デメリットをまとめてみました。

外国人家政婦を受け入れるメリット

  1. 家事から解放される
  2. 「利用料金が安いのではないか」という期待感がある
  3. 子どものある家庭では、子どもの英語教育が行える

 

1に関しては、外国人家政婦を雇うメリットではありませんが、家政婦を雇うことにより家事から解放される点は大きなメリットとなりますね。

2に関しては、「日本人より外国人の方がコストが安い」と安易に考えることはできません。政府の通達によると、外国人家政婦の給与は、月額20万円(固定給)とのことです。家政婦を受け入れる企業は、各種教育にかかる費用だけでなく、渡航費用・日本での住居の手配等も負担しなくてはなりません。そうなると、それらのコストは当然、家政婦サービス利用者への料金へ反映されてしまいます。利用料金が高いか安いかは、この施策が今後広まるか否かの重要なポイントとなりそうです。

3に関しては、特にフィリピン人家政婦の場合はメリットになり得ると思います。家事をしている間、子どもへ英語で話しかけてもらうことにより、子どもにとっては、身近に英語環境ができることになります。文科省の方針にもある「英語教育の一層の充実」を考えると、これは大きなメリットとなりそうです。

 

外国人家政婦を受け入れるデメリット

  1. 文化・習慣の違いから、質の高いサービスを受けられないのではないかという不安がある
  2. トラブル(盗難・窃盗)の心配がある
  3. そもそも家事は自分でやるので必要がない

 

1に関しては、どうしても拭いきれない問題かと思います。もちろん根本的には、国・文化というより、その人の性格や能力によるところが大きいと思いたいです。自分もフィリピン人家政婦を何人も見てきましたが、どうみても、彼女たちの働くモチベーションは、

  • ほめられたい
  • 見て見て!私頑張ってるでしょ?

というものでした。これを逆に言えば、

  • 見ていないところでは何もやらない
  • ほめないとすねて、さらにいつまでも根にもつ
  • 言われたことしかやらない
  • 言われたこともやらない

ということになります。教育も大事ですが、資質が高いフィリピン人をいかに確保するかが最重要課題ではないでしょうか。

2に関しては、説明の必要はありませんね。そもそもお金に困っていないフィリピン人は働く必要がありません。日本へ行きたいということは「お金を稼ぎたい」というケースがほとんどなので、ハングリー精神をもった外国人が留守中に家にいるという状況は、心配事が増えそうな気もします。

3に関しては、日本独特の考え方かもしれませんね。「もともと家事が好きで、お金を払ってまで他人にしてもらう必要がない」「自分流のやり方でないと気が済まない」といった方もいらっしゃるのではないかと思います。

今後の展望と課題

外国人家政婦の普及は、何よりもまずサービスの価格が下がる必要があると思います。「えっ、そんな価格で利用できるの?」とユーザーが思うことが必須です。そのためには、受け入れ企業だけでなく、成立法案の見直し等を含め、行政の担う役割が重要な鍵を握っていると言っていいでしょう。政府は、アイディアは立派でも細かい試算や計画には目を通さず、「あとは君たちでやっといて」と丸投げし、何かあると「自分は知りません」と開き直るダメ社長的なやり方を改める必要がありますね。

それともう一つ、この制度の危うい点について言及しておきます。

それは、制度を悪用する雇用者・被雇用者が間違いなく増えるということです。名目上は家政婦として外国人を雇い入れ、その実態は性風俗産業で働かせるということが考えられます。または、もっと収入の多い業種を求めて被雇用者が逃亡してしまう可能性もあります。

上記の点については、責任の所在を明確にすることや、雇用者へ重いペナルティを科すなどの対策の整備が必要ではないでしょうか。

 

まとめ

少子高齢化の問題から、外国人の雇用を拡大するという動きには一定の理解があります。でも、よくよく考えると、人手不足といわれている中、日本人でも多くの方が失業している状況で、外国から来た人が日本で働いているという点に若干ではありますが違和感を覚えます。「日本人の雇用問題はどうなってるの?」というのが正直な感想です。今は日本の外、フィリピンから日本の様子を見ているので、そんなように感じるのかもしれません。

 

何はともあれ、大きなチャンスをつかんだフィリピン人家政婦さんたちが、見事に幸せをつかむことを心から願ってます!

外国で働くということは易しいことではないです。

辛いこともたくさんあるかと思います。

どうか頑張ってください!!

ではまた。

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